巨人軍の2013年の春季キャンプの初登録/岸敬祐投手の経歴と出身
昨年7月に支配下登録された3年目の岸敬祐投手(26)が、
初のキャンプ1軍へ。
ドラフト1位の菅野智之投手(23)=東海大=も、新人選手で唯一の1軍メンバーに入った。
一方で、小笠原道大内野手(39)、谷佳知外野手(39)、亀井善行外野手(30)は、
2軍からの始動が決まった。
岸敬祐投手の座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。
育成での入団から3年目。
初のキャンプ1軍切符を手にした岸に、気の緩みはまったくない。
「身の引き締まる思いです。半信半疑でしたけど『いよいよ』という緊張感が出てきました。
でも、まだ一歩を踏み出したわけではないですから。
(シーズン)最後まで1軍に残れるようにしたいです」
関学大時代は体調を崩し、2年にわたり練習すらできなかった。
大学通算4勝10敗。ドラフト指名など夢の夢。
4年時は一般学生と同じく就活に精を出し、大手生命保険会社から内定をもらった。
母の久恵さん(56)は安定した職業を選んだことに安心しきっていたようだが、
息子は最後の意思確認の席で幼い頃からの夢を追うことを決断。
「このまま中途半端な気持ちで会社に入っても、会社に迷惑がかかる。母には泣きつかれましたけど、
父は『オレはダメと言えない』と言ってくれた」。
プロゴルファーを夢見て家出した経験を持つ父・紀代志さん(59)の後押しを受け、
独立リーグへの道を選んだ。
関西独立リーグ・大阪では月給20万円が約束されていたが、
チームは次第に資金難に襲われ、月給は8万円に減った。
両親からの仕送りで生計を立て野球を続けた。
「趣味にあてるお金なんてなかったし、食費で精いっぱい。生活はカツカツでした。でも、あの頃があるから」。
ハングリー精神で四国IL・愛媛から巨人の門をたたき、昨年7月に支配下登録された。
真っすぐは140キロ前後と速くはない。
スライダー、シュートなど多彩な変化球をコーナーに集め打ち取るのが身上。
原監督からは「ヤクルトの石川を目指せ。スピードは意識しないでいい。落ちる球があれば」
と
アドバイスされた。このキャンプでは、チェンジアップの完全マスターを目指したいという。
「ずっと内海さんや山口さんの横で投げることを想像してきた。
阿部さんにもぜひ、球を受けてもらいたい。
すぐに飛躍できるタイプではないので、一歩ずつでも前に進んでいきたい」。
鉄腕・山口の育成ドリームに続くことはできるのか。
どん欲に、ひたむきに、開幕1軍への歩みを進めていく。
◆岸 敬祐(きし・けいすけ)
1987年1月16日、兵庫県生まれ。26歳。
関西学院高から関学大に進学。
関西独立リーグ・大阪)、四国・九州IL・愛媛を経て、
2010年育成ドラフト2位で巨人入り。
昨年7月30日に支配下登録された。
昨季は開幕から2軍の先発ローテに定着し、イースタン・リーグで23試合に登板。
8勝5敗、防御率2・36で最優秀防御率のタイトルを獲得した。
好きな食べ物はお好み焼き、たこ焼き。
座右の銘は人間万事塞翁が馬。
178センチ、74キロ。左投左打。今季年俸は530万円。